フォト

Twitter

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

おすすめ本

人間は不合理だ!

競馬でもビジネスでも、理論や法則を勉強するのが大好きな私。色々なビジネス書を読みますが、特に研究しているテーマは「人」。やっぱりビジネスって複数の人の間で行われているものだから。今回ご紹介するのは「人間の行動」と「経済」を結びつける、その名も「行動経済学」に関する書籍です。

 

著者のダン・アリエリー教授は現在は名門Duke Universityで教鞭をとっていますが、その前はMITにいました。本書は教授が主にMIT時代に数々の実験を通して明らかにした「人間の非合理的な判断」が紹介されています。たとえば、なぜダイエットは自分の健康のために必要であると頭でわかっていても今目の前にあるケーキを食べてしまうのか、なぜいつもはレストランでスープの価格が1000円を超えた程度で「げげっ、高っ!」と思うのに結婚式のコース料理に追加で2000円のスープを追加してしまうのか(←筆者実体験)などなど、一見合理性に欠けているのになぜかとってしまう我々の行動の謎を解き明かしてくれます。

 

実世界に根ざした経済学を追求しようとしていることもさることながら、一番の魅力はその実験内容です。よくもまあこんな実験を思いついたなという実験により人間の不合理さが明らかにされていくのをぜひ楽しんでください。本書は一般向けということだからなのか、さらに踏み込んだ理論への昇華についてはあまり言及されていませんが、ぜひ一度先生の授業を聞いてみたいです。

 

本書を読んでいいなと思った内容の一部は私のTwitterで引用していますので、ぜひそちらもご覧下さい。

予想どおりに不合理増補版 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

(ダン・アリエリー著)

15209166_3

旅とギャンブルのクロスオーバー~いい日、旅打ち

世の中に「趣味は旅行です」という人はごまんといる。

そんな人たちの旅への期待は「未知との遭遇」だ。

一方「趣味はギャンブル」という人もかなりいる。

そんな人たちは自らがよく知る種目、コースをベースにギャンブルを楽しみ、未知をよしとしない傾向が強い。

従って、それぞれ人口の多い旅行好きとギャンブル好きだが、「旅先でギャンブルをするのが趣味」という人は一気に減る。

理由は旅先でのギャンブル=未知の要素が大きいからではないだろうか。

ただ旅先でギャンブルをするというのは、その土地を深く知る上でとても意義のある行為だと思う。

なぜならギャンブル場にいるのはその多くが“地元民”であり、そこにいる多くの人はギャンブルのために集まっているため着飾らない普段着の人たちだからだ。

有名な観光名所も旅行の重要な要素だが、せっかく高いお金と貴重な時間を使って旅行に行くからには、その土地の素顔を知るのもいい経験だと思う。

加えて、この本に紹介されている「旅打ち」には昭和テイストを感じることのできる場所としての公営ギャンブル場もフィーチャーされている。

旅行とギャンブルという異なるもののクロスオーバーにより、新たな価値が創造されていく面白さが「旅打ち」にはある。

ただし個人的な見解を申し上げれば、旅先でのギャンブルで勝つのは非常に困難である。

やはり未知との戦いは難しい...

いい日、旅打ち。 公営ギャンブル行脚の文化史」 著:須田鷹雄

12150334

ちなみに著者の須田鷹雄さんは私が大学時代にWebの更新や本の出版などのアルバイトでお手伝いをさせていただいた競馬ライターの方で、いつも競馬界に新しい視点を与えてくれる貴重な存在です。

今回の著書はギャンブルファンに新たな(新しくはないか?)価値を提供してくれるとても面白い試みだと思います。

できないこと、でもやってみたいこと

夏休みが明けてからというもの仕事の波に飲み込まれて帰るのはいつも夜10時。

週末もただひたすら寝るばかり。

アメリカに来る前に買い溜めた本たちは手に取られる時を今か今かと待ちながら本棚に整列しています。

ということでこれからはある程度割り切って帰宅するようにして、少し早めの“読書の秋”をはじめたいと思います。

今日は1か月前からちびちび読んでいたTina Seelingの「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」(原題:What I Wish I Knew When I Was 20)を読み終えました。

一言で言うならば、「自分の思い描く未来を実現するために必要なこと」が書かれている本です。

ただし、この本に書かれていることを実際の行動に移すのはほぼ無理です(断定!)

正確に言うと、現代の日本人にはほぼ無理です。

というのも、著者はスタンフォード大学で起業家精神を教える先生で、本書の内容もその講義の内容やその過程で出会った人たちとの体験をもとに書かれていますから、そもそも安定志向の我々日本人には合わない話なのです。

たとえば、

①早く、何度も失敗せよ→失敗を恐れ、敗者復活の土壌がない

②自分のキャリアは自分で決める→一流大学から大手企業就職こそが成功とする雰囲気が絶対的で、とてもじゃないが自分の意志など押し通せない

③及第点ではなく最高点を目指せ→平等な評価の名のもとに、期待を大きく上回る成果を出した者に対しても相当な評価を与えないのでは、最高点を目指す人の方が珍しい

④自分自身に許可を与える→他人に背中を押されないと前に進めない、人の評価が気になる

などことごとく実現困難なことが書かれているのです。

別に日本人が悪いとか劣っているというわけではありません。

ただ合わないというだけです。

少し話は変わりますが、アメリカに来て感じたことは、日本人は平均値が高くバラつきが少ないということです。

従ってアウトプットが非常に安定しています。

アメリカ人はやる人はやる、やらない人は全くやらないのでアウトプットが極端に分かれます。

スーパーの野菜も一緒です。

コチラのスーパーでは野菜はケースに無造作に詰め込まれ、形も大きさもバラバラ、下の方のやつはつぶれてしまったりしています。

消費者は自分の目で見て、手で触ってお気に入りの野菜を選んでいきます。

方や日本のスーパーの野菜はどれもみな同じ形、大きさで綺麗にパック詰めされています。

これも単純に「違う」というだけで、どちらが優れているということはないのです。

ただ一つ言えるのは、今のように世の中が停滞しているとき、現状を打破できるのは平均的な人間ではなく、何か一つでもずば抜けている人間だと思います。

江戸時代末期、停滞していた日本を変えたのは幕府のお偉方ではなく、若くて志のある、でもただの武士たちでした。

この本に書かれていることはまさに彼らがやったことであり、かつて日本人にできたことでした。

今の世の中、この本に書かれていることをできる人はほとんどいないでしょう。

こんな本が出るくらいですから、アメリカ人でもできない人は多いのでしょう。

しかし、だからこそやってみたいことでもあるのです。

S48410101

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義(Tina Seeling著)

夢をかなえるゾウ

最近、マーケティングの勉強をしてみたいなと思い、入門書的なものを読んだりもしているのですが、この分野で大事そうだなと目を付けているのが「誰をターゲットにするか」ということのようです。

いわゆる“ターゲッティング”いうやつですわ。

ところが、人間の考えることは大体が同じようなものなので、この「ターゲッティング」についても、ある製品を販売しているところというのは大体どこも同じような人たちをターゲットにしてしまい、差別化を図るのが難しくなっているような気がします。

ですから、その中で今までと全く切り口を示せたりすると、中身の良し悪しにかかわらず、一気に競争を抜け出せるのです。

「夢をかなえるゾウ」という本は、そういう意味で非常に面白い本だと思いました。

だいたい「オマエ、今さらその本かよ」とお思いの方が当ブログの読者だけで推定100名はいる(そもそもそんなにアクセス数があるのかは秘密)ほどのベストセラーですが、中身がどうのこうのという話はやめて、その「ターゲッティング」と「切り口」の妙について考えてみたいのです。

そもそもこの本はゾウの神様がしょぼくれサラリーマンにアレコレとアドバイスして成功に導いてやるというストーリーなのですが、このアドバイスというのが、本の中でゾウの神様が語っているように巷にあふれ帰っている自己啓発本の内容と全く同じなのです。

つまりこの本を読んで得られるものはその辺に転がっている自己啓発本と同じだと言えます。

ではなぜこの本がベストセラーになり、ドラマやらアニメにまでなったかといえば、「ターゲッティング」がユニークだったからだと僕は思います。

具体的には、この本は子供でも読める小説という切り口によって、これまでの自己啓発本がターゲットとしていなかった層を狙ったといえます。

いわゆる自己啓発本という類の本のターゲットは通常「自分のモチベーションを高めて成功したい」と切に願うやる気満々ギラギラ系の方々です。

そんな人たちは向上心の塊(少なくとも自己啓発本を手に取ってる瞬間はね)のようなギラついた人たちですから、他にも小難しい本を読んだりするわけです。

そういう人たちではなく、普段あまり本を読まなくて「正直難しい本には抵抗あるわ~」という人たちをターゲットとし、優しくてスラスラ読める本でありながら内容的には自己啓発本を読むに等しい効果を得られるというクロスオーバー的な切り口を示せたがために、新たな客層を取り込み爆発的なヒットにつながったと思うのです。

もちろんヒットした後はいわゆる自己啓発本のターゲット層の方々も飛びついたと思われます。

そもそもこの種の人たちは常にモチベーションを向上させたいと思い、自己啓発本を次から次へと渡り歩いているでしょうから、この本の噂を人から聞けば売れているという情報も相まって飛びつくこと請け合いだからです。

新たな層+既存のターゲット層を取り込んだ「ゾウ」は、こうして一世を風靡したのです。

この異なる属性を持つものを掛け合わせたクロスオーバーという発想、いろんな分野で見られるようになりましたが、もしかすると最も手っ取り早く新たなターゲット層を開拓する魔法の杖なんじゃないかという気がしています。

もし自分がビジネスをするとしたら試してみたい発想ですね。

人は論理では動かない~冨山和彦「会社は頭から腐る」

先日、会社の元同僚と池袋で鍋をつついていたときに紹介してもらった本です。

文学部のくせに本が嫌い+数学が苦手という理由だけで経営学部や経済学部を受験しなかった僕が、経営書を読むようになるなんて驚きです。

でも、この本の内容が僕にもすんなり入ってきたのは、いかにも経営を数字で見そうなコンサルタントの頂点を見た著者が、経営とは人を活かすことであると説いているところでした。

どんなに論理的に正しくても他人はついてこないことがある、というのは仕事をしていれば誰もが経験のあることでしょう。

それはあなたの論理的な提案が、相手の情理とシンクロしないからです。

たとえば、営業に行って「この装置を導入したら1年で××円お得ですよ」と論理的に提案しても、買ってくれないお客さんがいたとしましょう。

そんなときお客さんは頭の中で『初めて営業に来たやつのいうことなんか信用できるか。大体、うちは昔からA社のBさんにお世話になってきたんだ。ちょっとのメリットで今までの恩を仇で返せるか!』ってなことを考えたりしています。

このように、人間の行動は論理よりも情理に支配されているというのが著者がこれまでのコンサル経験から導き出した経営の基本でした。

今の例は売り手と買い手ですが、会社の中でも、適当にやって定年まで今のポジションにしがみつきたい中年管理職や、どんどんスキルを身につけて一流のビジネスマンになりたいと志高く仕事をする若手社員などさまざまな人間がいます。

そんな彼らの情理(=インセンティブ)をいかに会社の進むべき方向と同じ方向に合わせていくか、または会社の進むべき方向と同じ方向を向いている人間に機会を与えるかということが経営であると言い切っているところがこの本のミソです。

最近知り合った元銀行員の方の話では、このような経営論は学問的に昔から存在したとのことですが、それを産業再生の修羅場を体験した人間の生の声として書いているところが大変気に入りました。

冨山和彦「会社は頭から腐る」